え~、まあこれはよく聞かれる質問であり、答えるのが最も難しい質問でもあります。
と言うのは、人によって前提条件や役員報酬の取り方に対する考えがまったく異なってくるからです。
サラリーマン同士が居酒屋で同僚に「お前、今、年収ナンボ?」みたいなノリで聞いても、全く答えようがないのが社長の年収なんです。
単純にサラリーマンの年収と比較することができないと思って下さい。
まず前提条件なんですが、
①法人運営か個人事業主か?
②規模はどれくらいなのか?
③他に事業を行っているのか?
などなど。千差万別ですね。
あと④「経費も収入!?」の観点から
まあ、そんなことを言っても仕方ないので、かなりアバウトですが、僕がひとつの目安を言います。
それは1500万円~1800万円くらいがボリュームゾーンかな?です。
もちろん、もっと少ない社長もいますし、もっと多い社長もいると思います。
大体、どんな業種でも独立したらサラリーマンの時の3倍稼がないと意味がないと言われていますので、まあ、それを考えると妥当なところかな・・・とも思います。だいたい薬剤師の平均年収って500万強ってとこじゃないでしょうか?だから500万円×3倍=1500万円って計算です。
これって高いのか安いのか・・・なんですが、どうでしょう?
僕は医者の友人が多いのですが、勤務医で30代後半から40代前半の友人に聞くと不思議なことに、だいたい1500万~1800万くらい(当直、バイト代込)が多いです。
がんばって独立して、医者とは言えサラリーマンと同じくらいと言うのは経営者としてちょっと夢がないな~というのが僕の見解です。
もし、リスクとって調剤薬局経営して、それで年収1000万いかないんだったら、もう薬局経営辞めた方がいいと思います。退職金もないですし「命綱なしの綱渡り」やってる人間からすると全く割りに合わない金額なので・・・。サラリーマンとして薬剤師やってる方がよっぽど気楽でいいと思います。年収1000万くらいならサラリーマンでも十分達成可能です。同期で所謂、一流製薬企業でサラリーマンしてる連中はだいたい1000万超えてますしね。
まあ、それはさておき前提条件が年収にどう影響するかを軽~くチェックしてみたいと思います。
これは、次のコラムでもう少し詳しく書きますので簡単に説明します。
個人事業主は売上からすべての経費を引いた残りがすべて収入(年収)になります。 そしてそれに対して税金がかかります。
経費を引いた後の収入のコントロールが効きません。モロに税金がかかります。
法人の場合は、社長と法人は別人格ですので、社長の給料は会社(法人)にとっての支出になります。つまり経費(損金)です。
ですので、社長の給料分が法人にとって損金計上できるので法人でワンクッションさせることができます。しかも個人事業主ではなく、あくまで法人の役員ですので、給与の一部を課税所得控除として非課税にできます。(これはサラリーマンも同じく課税所得控除されてます)
それと、個人事業主みたいに全額自分の給料とせず、法人にお金を残すこともします。これは何をしようとしているかと言うと、会社と個人で所得を分散させてるんです。日本の税率は累進課税で高額報酬を取れば取るほど非常に高くなります。
ですので、もし3000万円の報酬を取れるなら3000万円丸ごと給料でもらうよりも、1800万円を役員報酬でもらって、残り1200万円を法人に残しておく。 あるいは、奥さんを役員にして奥さんに役員報酬を出してしまう・・・。という具合に金額を小さく小分けにすることによって税率を下げることができます。
オーナー社長にとって、法人のお金も個人のお金も結局、自分のお財布ですのでそういうことが可能です。
実際、3000万くらい稼いでいる社長もいますが、税法上、日本は稼ぐ人に非常に不利にできています。
後述しますが、課税面から考えた最適解は1500万~1800万くらいかなと思います。
調子乗って「俺こんなに稼いじゃった~!!俺ってすんげー高給取り~♪」(笑)みたいな給料の取り方をすると税金でひどい目に合わされます。
ですので、意外と月収100万円を役員報酬を設定してる社長も多いです。課税所得でギリギリ税率23%に抑えられるのがこの辺りの月収だからです。
ちなみにここを越えるといきなり税率33%となり税金が10%もアップします。
あと法人にお金を残しておくもうひとつの理由は純粋に内部留保のためです。いざと言う時に会社にキャッシュがゼロではどうにもなりません。会社にキャッシュがない状態は喩えて言うなら、体脂肪率ゼロのムキムキマッチョな人です。一見、強そうですが、免疫力ないので風邪引いたら終わりです。
それと、社長にはボーナスありません。支給することも可能ですが、税務上非常に不利な構造ですので、貰ってる人はあまりいないと思います。
当然ですが、開業医の門前薬局を1店舗経営するのと、日本調剤みたいな会社では全く比較できません。
このサイトのユーザーはまあ、1店舗から3店舗くらいの薬局経営者の年収を知りたいと思っていますので、それなら、やはり1500万~1800万円がボリュームゾーンかなと思います。
例えば、1店舗だけなら自分がプレーヤーで働けますが、2店舗目は絶対無理ですよね?
仮に1店舗目で自分がプレーヤーとして年収1500万円取れたとして、2店舗目ではせいぜい数百万くらいの実入りになると思います。 なぜなら、全部人を雇って運営しないといけないからです。この点が、僕が薬剤師以外は調剤薬局を経営してはいけないと思う根拠です。自分がプレーヤーとして働けない状態では、もう経営が成り立たないでしょうね。特に小さな薬局では・・・。
蛇足ですが、僕の先輩や友人の話を総合すると、3店舗~5店舗くらいの薬局経営者が労力対収入で一番旨みがあるんじゃないかという結論です。
1店舗だけならちょっと収入も寂しいし不安定、かといって5店舗を越えてくると苦労の割りに実入りが少ない。薬剤師の確保も大変。 そういう事情もあって10店舗~20店舗くらいの地場チェーンの薬局経営者がどんどん会社を大手に売却(身売り)しているんだと思います。調剤薬局経営に旨みがあった時代はすでに終わりました。
当然、薬局という事業を起業したくらいの社長ですから、他の事業に手を出さないはずはありません。 多いのは、介護系ビジネス、不動産投資、健康食品販売ですかね。 まあ、これは大手もそうですが・・。
調剤薬局のみではたいして儲かっていなくても介護系ビジネスや不動産投資で結構なお金を所得を得ている経営者もいます。
少し不動産経営の話を補足しますね。
パターンがいくつかあるんですが、単純に賃料収入目的で一棟物のマンションやアパートに投資するケース。
もうひとつは早期の減価償却を目的とした築古の木造アパートの購入。(説明は省きますが節税目的ですね)
最後は、モールや医療ビルを自前で作って、そこに医療機関を誘致。医療機関から賃料収入とコンサルティング料を得て、さらに本業の薬局ビジネスでも処方せん応需というメリットを享受するスタイルです。大手は大体ココに力入れてます。
話は大きくそれてしまいました。
そうするとますます社長の給料はいったいいくらなのかわからなくなりますね~。
サラリーマンのように収入の流れが一つではないのが経営者の特徴です。 まあ、もちろん調剤薬局1本でがんばってる社長もいますけど・・。 いずれにせよ、税金面を考慮するとよほど大きな会社のオーナー社長でない限り、1500万円~1800万円がボリュームゾーンかな?と思います。
じゃあ、何億も取ってる某社長はどうなんだ?って話なんですが、理由は①法人でも100%オーナーじゃないこと(株式公開してる)⇒必要以上に法人(一部他人の会社)にお金を残してもしょうがない②いったん法人にお金を残すと今度それを再度、社長が受け取るには所得税がかかるんです。つまり同じお金なのに所有場所を移すだけで法人税と所得税をダブルで支払うことになるからです。⇒それなら、高い所得税でも1回で済ませて役員報酬としてもらっておく。まあそんな感じだと思います。
先に述べたように日本の税金は高いので、だいたい社長は現金の収入はほどほどにしてると思います。
あとは経費ですね。 例えば、車。 さすがにフェラーリは無理ですがベンツなら法人で所有できると思います。当然、車検、ガソリン代、保険、駐車場代、高速代、諸々の経費もすべて法人持ちで。 あと住居。 賃貸なら役員用社宅ということで家賃の半額を法人に負担させることができます。家賃20万のマンションなら10万円で住める計算です。
持ち家は少し難しいんですが、法人の持ち物にできます。 ただし自分が社長をしている会社が所有している家でも、社長がその家に住むには会社に家賃を払わないといけません。(自分で買った家に家賃を払うってどうなんだ?と思うかもしれませんが、法人と個人は別人格ですのでそういうことになります)
まあ常識の範囲内で格安家賃にはできますが・・・・。固定資産税や都市計画税はもちろん法人負担。 家の修理費用や庭木の手入れなどすべて会社の経費にできます。東京だと田園調布や関西だと芦屋の麓々荘なんかにある古くからの邸宅は表札は個人の名前でも、所有者は法人のことが結構あるそうです。
他によくあるのが接待交際費。 銀座や北新地で自分のサラリーで飲んでる経営者なんかほとんどいないと思います。 基本的に社長は飲み食いは経費にしてると思います。もちろん何らかの仕事がらみでないとダメですが・・・。 あと、あまり無茶して飲み食いすると糖尿病になります(笑)マジで。
さて、以上のことを金銭に直すといくらくらいになるでしょうか?おそらく年間、最低数百万円以上の価値はあると思います。(人によっては千万単位)年収500万円のサラリーマンなら+数百万円になる計算。
社長にとっても同じで役員報酬+数百万円のお給料アップという感じです。 しかも、この数百万円の価値は個人にとっては非課税と同義です。法人にとっては損金として利益から相殺できます。(以前は接待交際費の損金算入は90%だったのですが、2013年度会計から全額損金算入できるようになっています)
つまり法人にとっては、節税効果があります。昔から、社長が「どうせ、税金で取られるくらいやったら、ぱーっと使った方がマシ!」とか「経営者たる者、経費で遊べ!」というのはまんざら嘘ではありません。 とは言え、会社のお金で接待するMRと違って、会社のお金と言えども自分のお金である社長にとっては、使えば使うほどお金は減っていきます。 キャッシュフローは当然マイナスになります。
※税法はどんどん変わりますし、資本金や会社の規模によって異なります。上記の説明はかなりアバウトな説明ですので、ご自身で検証される場合は専門家の意見を参考にして下さい。
如何でしたか?
まあ、あくまで自分の知ってる範囲でお話したので、すんげー稼いでいる先輩経営者からは「ププッ、藤原くん。君たち、年収その程度なの?」とか、逆にサラリーマンの方からは「えっ!!調剤薬局経営者ってそんなに儲かるの?」とか様々な感想があると思います。
その辺はあくまで藤原ナオヤ的意見として、ご理解下さい。
次のコラムは「法人と個人、どっちがいい?」です。
薬局を経営するときにどっちがいいか悩むと思いますので参考にして下さい。
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