近年、後発医薬品の普及率は着実に上昇し、2017年度末までに60%以上、さらに2020年度末までに80%以上とする事を新たな目標として掲げられました。
現時点でも既に60%近くを推移しており、これも薬剤師の努力が報われた結果だと言ってもいいでしょう!
もともと医療費削減の為に行われましたが、もしジェネリックの普及率が80%以上に到達したとして、医療費は本当に削減できるのでしょうか。
今回は80%に到達したとして医療業界がどう動くのか考えてみたいと思います。
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まずジェネリックメーカーですが、多くの新規メーカーも誕生していきますので、当然ジェネリックメーカーは飽和する事になるでしょう。
そして、求められるのは安定供給である事はもちろん、次は「質」が重要視される時代となるでしょう。
異物混入が一回でもあればたちまち潰れていく厳しい業界になると思います。
一方、先発メーカーはどうなるかと言うと、新薬の特許が次々切れた途端に、どんどんジェネリック業界に喰われていくと思います。
その為、その勢いに負けないように、新薬を次々に開発して売り込んでいかなければ生き残れなくなる可能性が出てくるのです。
このように、ジェネリックが80%以上になるという事は製薬企業側からしたら現状のまま経営を続けていくのは極めて困難であり、大きな変化が必要となる事が予想されます。
次に薬局の影響を見てみましょう。
ジェネリックに次々と変えていく事は決して簡単な事ではありません。
変更する事によりまず在庫の圧迫がまず挙げられます。
新薬などの一部例外もありますが単純に考えて先発品の倍近く存在する訳です。
一層の事先発品を失くしてジェネリックのみで揃えるならまだしも、実際にそんな事できないですよね。
それだけで購入金額は上がってしまいますが、もし薬が使用されるならばまだ問題ありません。
問題なのは、さらにデッドストックになった場合です!
確かにジェネリックなので先発品に比べたら安いものと思われますが、積もり積もれば山となる訳で決して軽く受け止める事は出来ません。
しかも、後発医薬品使用体制加算の水準は改訂の度にどんどん上がっていってますよねー。
こうなってくると、恐らく普及率が80%以上になる時は、もはやジェネリックを使用する事が当たり前となっており、使っていない薬局にはむしろペナルティを課される可能性だってあるのかもしれないのです。
このように、薬局にとって今後何のメリットもなくなってしまう事が予想されます。
ところで、皆さんはジェネリックの普及率増加によって、どのくらいの医療費削減効果を及ぼしているかご存知でしょうか?
平成22年のジェネリック普及率と1人当りの医療費の相関性を比較したデータで、非常に興味深い結果が公表されていましたのでご紹介したいと思います。
ジェネリック使用率1位が沖縄県で、1人当りの医療費も1位でした。
また、徳島県や香川県に関してもジェネリック使用率が低位を位置しており、当然1人当りの医療費も高額となっていました。
こうしてみると、ジェネリック使用率と医療費が相関しているように見えます。
しかし、ジェネリック使用率2位の鹿児島県をみると、1人当りの医療費は40位となっています。
また、逆に東京都ではジェネリック使用率は44位であるにも関わらず、1人当りの医療費は5位の安さなのです。
このように全国の県で見ると、どちらかと言ったら相関していないパターンの方が圧倒的に多い事が分かったのです。
どうやら、平均在院日数の長い県や、入院ベッド数の多い県が医療費に影響を及ぼしているのだそうです。
つまり、ジェネリック使用率と医療費の相関性は低いという事です!
このように、ジェネリック使用率をただやみくもに上げる事が本当にいい事なのでしょうか。
先にも言いましたが、先発メーカーは既に新薬開発に力を入れており今後次々と誕生する事でしょう。
それに伴い医師も新薬を優先的に使うようになり、先程の入院ベッドの件と重ねたら結局医療費が圧迫され続けるのではないかと私は思うのです!
さぁ、だからと言ってジェネリックを使うのをやめにしましょう!という訳にはいきませんよね。
確かに、健康保険は国民の財産でありそれが圧迫しているというならば、国民全員でジェネリック使用に積極的にならなければならないと思います。
その為にも、まずはジェネリック使用によってどれだけの医療費削減に貢献できたのか、実績を国民全員に公表する必要はあるのではないかと思います。
その際は、ただジェネリックの使用だけの判断ではなく、ジェネリックを促進する為に行われた診療報酬や調剤報酬や普及にかかった費用など、全体的に考慮した上での実績を公表して欲しいと思います。
そうする事で、医療業界全ての活性化にも繋がると思いますし、国民の不安解消にもなると私は思います。