皆さんは処方薬、OTCやサプリメントなどの相互作用や副作用などの問題を薬剤師がチェックし危険性を見つけて、早期発見・早期対策につなげるプログラム「ブラウンバッグ運動」をご存知でしょうか。今回の調剤報酬改定でもかかりつけ薬剤師の算定項目や外来服薬支援の算定にもちらっと出ていますよねー。それとは別に最近「節薬バッグ運動」というあまり聞き慣れない運動が密かに話題となっています。今回はこの節薬バッグ運動に着目し、一体どういうものなのか、残薬に対する薬剤師の取り組みと今後の課題について少し考えてみたいと思います。
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節薬バッグ運動は、福岡県で始まったとされています。医療費の増加が問題視され昨今、その対策に様々な事が検討・実施されてきました。その一つとして行われたのがこの節薬バッグ運動です。
これは、節薬バッグという専用のバッグを患者に配り、自宅に残っている処方薬をそのバッグに入れて薬局に持ってきてもらおうという試みです。
そして持って来られた節薬バッグの残薬を薬剤師がチェックし、担当の医師と連携して、処方量の調整を行います。福岡市で試験的に導入したところ、たちまち好評となり、次第に周辺地域に拡大していったそうです!なんとその結果、2013年の薬剤費のうち約2割近く削減されたとの発表があったそうです!まさに、節薬バッグ運動が着実に根付いてきている証拠だと思います。
はっきりとした数字は算出されていませんが、最近宮崎県薬剤師会が発表したニュースから引用すると、県内で患者の飲み残した薬を点検した結果、1ヶ月で約847万円分の薬が飲まれないまま自宅に残っていたそうです。
このうち、再利用できる薬を除いたら、なんと約736万円の薬剤費削減効果が出たそうです!
今回宮崎県だけの例なので、これを全国規模でみたらもっと膨大な医療費削減効果が表れるのでしょうねー。
このように医療費削減として残薬の問題が最も重大となっていますが、残薬によって他にも問題が生じます。
それは、医師や薬剤師が指示をしていない薬が使用されてしまうという点です。「いつか必要になるかもしれない」という考えで使わなかった余った薬を家の中で保管している人は意外に多く、症状が出た際に自己判断でその薬を使用しているという人がいるのも事実です。
特に風邪薬や解熱・鎮痛剤などの薬は家族にあげている人も多いのではないでしょうか。こうした行為が危険であることはもはや言うまでもありませんが、実際はこのような事が普通に起きてしまっているのです。
話は戻りますが、節約バッグ運動は患者が飲み残した薬を、有効活用するための取り組みです。では、そもそも残薬が発生する原因は何なのでしょうか?ほとんどの方が「うっかり飲み忘れた」とか「治ったから飲まなくてよくなった」ではないでしょうか。
また、これ以外には痛み止めや解熱剤、胃腸薬など、「症状が重いときに使う」頓服薬が余ってしまうケースもあるでしょう。
外用剤でもこうした傾向が強いようです。
そして、「病院・薬局に行くのが面倒くさい!」「無駄にお金を取られる!」「薬を貰うまでに時間がかかる!」「いつか使うかも!」という理由で捨てずにとっておく人が多いようです。
つまり、残薬の原因のほぼすべてが、患者本人にあるという事です。かといって、この問題を患者だけに押し付けて解決する問題ではないと私は思います。
今でこそ薬歴記載項目に残薬確認が加わり、薬剤師も意識するようになりましたが、実際それによってどれだけ医療費が削減され、残薬減少につながったのかどうかは疑問点が残る気がします。
また、4月からの調剤報酬改定でも処方箋の備考欄に残薬確認の項目が表示されました。国側からは良かれと思っての変更なのでしょうが、薬局側からみたら、今までの薬歴記載項目の残薬確認とそんなに変わらないシステムなので、とても残薬減少につながるとは思えません。
その点、余った薬を直接持って来てその場で調整する事に着目したこの節薬バッグ運動は、無駄なステップがなく画期的なものだと思います。
患者が、いつまで経っても飲まずに置いておいた残薬が、どんどんと医療費の余剰負担になってしまうことを考えると、今後は患者側の意識の改革も必要になってくるでしょう。
そのために、医師側には極力治療に必要な分だけの薬を処方してもらう協力も必要となるでしょう。そして、私達薬剤師は両者の間に入って患者さんの意識改革を積極的に行い、医師と共に残薬調整に努めていかなければならないと思います。つまりこの問題は、医師と薬剤師と患者が一体になって取り組んでこそ成せる業かと思います。この残薬問題、節薬バッグ運動を例に今後は薬剤師が中心となって、医療機関の協力を得ながら推進していくべき課題だと私は思います。