世間的には「薬剤師過剰時代はすぐそこまで到来している」と言われていますが、実際のところどうなのか非常に興味があって、需給バランスから検証してみようと思い、ちょっと調べてみました。
まず、今回は供給面から考えてみたいと思います。
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薬剤師飽和の未来を唱える方の一般的な意見としては、
薬学部を作りすぎた⇒薬剤師の大量生産⇒市場飽和
というものです。
確かに薬科大学や薬学部は結構増えましたね。とりあえず薬剤師資格を取得できない4年制薬学部の定員を除いて薬学部の定員を計算し直すと、10年前の薬学部定員が約8000人。
現在は約1万2千人。
よって50%くらい定員(薬剤師の卵)が増えたことは事実です。
次に国家試験合格者数と合格率を見てみましょう。これはグラフで視覚的に見たほうがわかりやすいので、僕の方でグラフにしてみました。

ちょっと、グラフが見難くてすいません。
いきなり話逸れちゃいますけど、2014年春の薬剤師国家試験は第99回なんですね~。来年は第100回ですか・・・。
まあ、どうでもいい話なんですけどね。(笑)
さて、本題です。
6年制移行前は、約20年間くらい年間合格者がざっくり8000人から9000人の間。合格率は70%から80%の間くらいをウロウロと言う感じですね。
2010年と2011年は4年制と6年制の狭間ですので、データとしては考慮しない方がよいでしょう。
また2009年は4年制薬学部最後の薬剤師国家試験ということで受験者数が例年より3000人ほど増えて、合格者も1万1千人くらいになりました。
これも異常値とみなした方がよさそうです。
比較すべきはビフォー2009年とアフター2012年ですね。まず、2012年以降の合格者数ですが8000人強で、ここ20年来の薬剤師国家試験合格者数と変化はありません。合格率も同様です。
特質すべきは2014年の数字ですね。
合格率が異常値と判断される、2010年、2011年を除き過去最低の合格率。それに伴い合格者も2010年、2011年を除き過去最低の数字でした。
僕の率直な感想としては、厚生労働省は薬剤師国家試験の合格率を下げて、薬剤師の供給数を減らそうとしているんじゃないかと・・・。(薬剤師国家試験自体、補正措置もあり非常に恣意的な運用が可能です)
あと数年様子を見てみれば、薬剤師国家試験の難易度が上がり、合格者数が減少傾向にあるかどうか判断できると思います。
ところで、薬剤師の合格率低下を考えるとき「薬学部の入学難易度が下がって、おバカな薬学生が増えたから合格率が下がったんじゃないの?」という意見もあるかもしれません。
しかし、ご存知のとおり大学は国試に合格できそうな学生しか卒業させません。よってその仮説は当たってないんじゃないかと考えます。
だって、自分の大学の卒業生の国家試験合格率が低くなる⇒大学受験生の人気が下がる⇒優秀な生徒の確保が難しくなる⇒定員割れして採算が取りにくくなったり、ますます国家試験の合格率が悪くなるという悪循環に陥ってしまいますからね~。
いずれにせよ、客観的なデータからは
『薬学部を作りすぎた』⇒『薬剤師の大量生産』⇒『市場飽和』
という兆候は今のところ確認できません。
逆に2014年のような合格率が続くと、薬剤師の供給は減っていくと思われます。
それから、もう一点。
労働力としての薬剤師人口の減少がどれくらいあるか?ですね。
例えば年取ったから現役薬剤師を引退する人の人数です。
平成24年厚生労働省が調査した「年齢階級、施設の種別にみた薬剤師数及び施設の種別薬剤師の平均年齢」によれば、薬剤師の総数が280052人で、29歳以下が14.6%、30~39歳が25.6%、40~49歳が23.7%、50~59歳が20.5%、60~69歳が10.9%、70歳以上が4.7%となっています。
1%が約2800人ですので、僕の解釈としては、60歳以上で全薬剤師人口の10%(3万人)くらいがリタイアするのかな~という感じです。(かなりアバウトです)1年で正確に何人が現場の薬剤師を辞めるのかはわかりませんが、毎年労働力としての薬剤師人口が一定数減っていることがわかります。
結論。供給面から検証してみると、薬学部の乱立による薬剤師供給過剰の兆候は全く見られない。厚生労働省の判断によっては逆に薬剤師供給減の可能性もあり。
次回は需要面から薬剤師過剰時代は本当に来るのか?を考えてみたいと思います。