千葉県の岩波薬局による、現金問屋を利用した脱税が発覚しましたね。1億円の所得隠しだったのですが、皆さんはこの脱税手法理解できました?今回は簡単にこの脱税手法と事件の背景を解説します。
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今回、1億円の所得隠しだったのですが、卸(アルフレッサ)社員と製薬メーカー社員、現金問屋、そして所得隠しを指摘された調剤薬局の4者がからむので、少々、一般の方にとって難しく見えるかもしれません。
そこで、どうやって裏金1億円もプールできたかを、会社の仕入れと売上げに軸に説明します。
まずは調剤薬局が1年間にどれくらいの医薬品を購入(仕入れる)するかですが・・・・。
個人の開業医の門前薬局でもそこそこのとこなら年間5000万円くらいはあるでしょう。かなり流行ってる医院の門前薬局やなら1億円弱くらいの薬剤購入費になります。
大きな病院前の調剤薬局や10~20店舗の調剤薬局チェーンなら、すぐに5~10億円くらいの購入額になります。
さて、それで今仮に年間売り上げ1億円、薬剤購入額8000万円の調剤薬局があるとします。(説明を簡単にするために人件費、家賃、必要経費はかからないと仮定します)
利益としては、1億円ー8千万円=2千万円。
そうすると、2千万円に対して税金がかかります。
仮に20%としましょうか?
400万円ですね。
さて、薬剤購入費ですが、今8千万円しか必要がないのに、1千万円分多めに仕入れたとします。そうすると、利益は
1億円ー9千万円=1千万円。
税金は・・・、200万円になりました。
そして、この1千万円分の医薬品を現金問屋に持っていきます。
850万円で買ってもらえました。
ここに帳簿に存在しない850万円の裏金が発生しました。
裏金850万円+税金が安くなるおまけ付ですね。
ここまで理解して頂けましたか?
まあどうやって裏金作りができるのかは、理解できたと思うのですが今回はアルフレッサの社員と製薬メーカーの社員、現金問屋が関わっていたんですが、なぜでしょうか?
それぞれの立場の人間にメリットがあるからですよね?
では、それぞれの立場の人間にどういったメリットがあったか?
1、調剤薬局
裏金作り・脱税
2、製薬メーカの社員
売上げノルマ。言わずもがな、単純に売上げが上がった方が成績が上がる。
3、卸(アルフレッサ社員)
売上げノルマ。製薬メーカー同様にたくさん購入してもらった方が成績が上がる
4、現金問屋
安定的な医薬品の仕入れ(持ち込み)が確保できる
以上ですね。すっきり理解できましたか?
上記4番目の現金問屋について少し・・・。
実は僕は現金問屋で働いていたという薬剤師の女性を知っています。
ところで、皆さんは、なぜ現金問屋が商売(ビジネス)として成り立つと思いますか?
まあ、仕入れる方(開業医や調剤薬局)としては、安く商品が手に入るので理解できると思います。安いほどうれしいですもんね。
でも、僕にはずっと疑問がありました。
1、なぜ現金問屋は一般卸よりも安く医薬品を提供できるのか?
(ただ現金問屋も以前ほど安くなくなりましたが・・・)
2、しかもビジネスとして成り立つほど安定的に医薬品を供給し続けられるのか?
です。
まず、製薬メーカーが現金問屋に商品を卸すとは考えにくい。しかも一般の医薬品卸よりも安く卸すなんて考えられないです。
そこで前述の彼女に現金問屋の内情を聞いてみたわけです。
曰く、現金問屋は一般事務員と営業部隊がいるらしいです。
営業部隊が何をやっているかは不明だそうです。ただ、病院や調剤薬局などに営業に回っているそうです。
それで、一般事務員の方は実際に店にやってくる持込医薬品の買取業務を行っているそうです。
ちなみに窓口には、どんな人が薬を売りに来ると思います?
正解は圧倒的に個人の開業医だそうです。
普通の格好でリュックに医薬品を詰めて、「ハイ、コレ。」みたいな感じで来るそうです。
医者がなぜ薬を売るに来るか?
もちろん正解は「裏金作り」です。遊ぶ金を手っ取り早く作るためですね。
毎日結構な人数が売りに来るそうです。
でも、僕はこれくらいの持ち込みだけじゃ全国の得意先に商売できないと思います。今までの話は薬の購入者自身が、その薬を持ち込んで現金化させてます。
以前、業界の人から聞いた話なのですが、実は盗品も多いそうです。
世の中には悪い人がいて、勤めている病院、調剤薬局、医院の薬を盗んで現金問屋に持ち込む人が多数いるんです。
昔は大きな病院の薬剤部の管理は非常に杜撰(ずさん)で、数億円単位の医薬品の盗難がよく発覚して新聞沙汰になってました。
よって脱税事件でなく盗難事件です。
僕自身もサラリーマンしている時に同じ職場の薬剤師が薬の横流しをして解雇されたケースを2件見ています。
最初はノルバスク5mg100錠とかなのですが、だんだんエスカレートして、1000錠単位の盗みを働くみたいですね。
僕が知ってるケースでも、実際の処方量の何倍もの仕入れ伝票が上がってきて、実在庫と差異が大きく出てしまい、内部監査が入り犯罪が露見してしまうようです。
皆さんが思っているよりも、はるかに多くの盗難があると思います。
話が脱線しましたが、今回の調剤薬局の所得隠しに話を戻します。
東京国税局の税務調査が入ったのですが、7年間で1億円の所得隠しということです。
思うに7年間ということは、1年間に1千万強の多めの仕入れをしていたわけです。先に述べたように調剤薬局の仕入れは個人医院に門前薬局でもそこそこ流行っていれば5千万円近くあります。
この岩波薬局(いわなみ薬局)は、千葉県済生会習志野病院の門前薬局だと思うので、年間1千万円強という数字は本来処方量に応じた仕入れ金額に対しても、そんなに大きくないと思いますね。
そもそも、所轄の税務署は業種ごとの適正仕入れ金額を設定したプログラムを持っています。なので、売上げに対して適正以上の仕入れをしている会社があると、プログラムが自動的に検知するんです。そしてその会社の帳簿類を人の目で精査する形です。
7年という数字も大事で、法人の帳票類の保管義務は7年間なんです。ということは、7年間も気づかれなかったということです。過去に税務調査を受けたこともないんじゃないですかね。
それほどビミョーな金額だった訳です。
大きな金額の不正だったら一発でバレるので。
あくまで僕の推論ですが、この岩波薬局の社長さんは本気で所得隠しをするつもりじゃなくて、最初は卸さんやメーカーのグロスのノルマの頼みを聞いて、助けてあげてたと思うんです。
どの調剤薬局経営者でも懇意にしてる、MSやMRなら多少の融通は利かせます。
ただ、いつしか「余分な在庫をどうしよう?」⇒「卸に返品してもいいけど、そうだ現金問屋に持ち込もう!そしたら仕入れ金額の水増しにもなるし、自由になるお金が出てくるな~♪」
せいぜいこの程度だと思います。
今回、現金問屋に商品を持ち込んだのはアルフレッサのMSですので、この社長にどれくらい所得隠しの認識があったか疑問ですが、返品伝票を介さずに現金でお金を動かしていたので、全く知らなかったと言うのは嘘でしょうね~。まあ、すでに追徴課税5千万円も納税したみたいですし、言うことないですね。一件落着。